平成10年公表の原状回復ガイドライン|負担割合は経過年数で変わる

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平成10年公表の原状回復ガイドライン|負担割合は経過年数で変わる

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退去時の原状回復費用について、賃借人がどこまで負担すべきかは、国土交通省が平成10年に公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が判断の基準を示しています。この記事では、ガイドラインが定める原状回復の定義と、賃貸人・賃借人の負担割合の考え方を、公式サイトの記載から直接確認します。

原状回復は「借りた時の状態に戻すこと」ではない

国土交通省は、ガイドラインの位置づけを次のように説明しています。

原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。

公式サイトはこの定義について「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化」したものと説明しています。つまり、日焼けによる畳や壁紙の変色、家具の設置による床のへこみといった、通常に住んでいれば必ず発生する劣化は、賃料に含まれる貸主の負担であり、借主が原状回復費用として支払う対象ではないという整理です。

賃借人が負担するのは「通常の使用を超える」損耗

ガイドラインは、損耗・毀損の事例を4つに区分し、賃貸人と賃借人のどちらが負担するかを整理しています。

損耗・毀損事例の区分と負担者
区分 内容 負担者
A 賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの 賃貸人
B 賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの 賃借人
A(+B) 基本的にはAだが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生・拡大したもの 賃借人
A(+G) 基本的にはAだが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの 賃貸人

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について/確認日2026年8月14日

「通常の使用」の一般的な定義は困難であるため、ガイドラインは個別の事例ごとにA・B・A(+B)・A(+G)の区分を示す形をとっています。区分Bおよび区分A(+B)に該当する損耗については、賃借人に原状回復義務があるとされています(当サイトの整理です)。

経過年数が長いほど、賃借人の負担割合は下がる

区分BやA(+B)に該当する場合でも、賃借人が費用の全額を負担するわけではありません。

BやA(+B)の場合であっても、経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っていますので、賃借人が修繕費用の全てを負担することとなると、契約当事者間の費用配分の合理性を欠くなどの問題があるため、賃借人の負担については、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。

設置からの経過年数が長い設備であるほど、賃借人が負担する割合は小さくなるという考え方です。具体的な減価償却の年数や計算式まではこの公式ページの本文に記載がなく、ガイドライン本体(PDF)を確認する必要があります(当サイトの整理です)。あわせて、原状回復は毀損部分の復旧が原則で、補修工事はできるだけ最低限度の施工単位を基本としつつ、色あわせ・模様あわせが必要な場合の取扱いについても一定の判断が示されています。

負担の分かれ目 通常の使用でも発生する損耗 (区分A)→賃貸人負担 使い方次第で発生する損耗 (区分B等)→賃借人負担 賃借人負担の場合も、経過年数が長いほど負担割合は減少する

すでに契約している場合は、まず契約書の内容が優先される

このガイドラインは、すべての賃貸借契約に自動的に適用されるものではありません。公式サイトは利用にあたっての注意点を次のように示しています。

このガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています。このガイドラインは、賃貸借契約締結時において参考にしていただくものです。現在、既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則ですが、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いをして下さい。

つまり、既に契約している賃貸借契約については、契約書の記載が原則として優先されます。ガイドラインは、契約締結時の参考資料、または契約書の条文があいまいな場合の話し合いの材料という位置づけです(当サイトの整理です)。

敷金・原状回復トラブルは消費生活相談の3〜4割を占める

このガイドラインが必要とされる背景には、実際のトラブルの多さがあります。賃貸住宅のトラブルについては、消費生活センターに毎年3〜4万件程度の相談が寄せられており、「敷金ならびに原状回復トラブル」はその3〜4割程度を占めるとされています。また、令和2年4月1日施行の改正民法では、賃借人の原状回復義務に関するルールが明文化され、通常損耗や経年変化については賃借人が原状回復義務を負わないことが明記されました。賃貸経営全般の他のコストについてはアパートの大規模修繕はいくらかかるかの記事、給湯器の交換費用を補助金でまかなう方法は賃貸集合給湯省エネ2026の記事で扱っています。訪問販売のトラブルへの対処という観点では、姉妹サイトのソーラー資料室のトラブルの記事も参考になります。

まとめ

原状回復の費用負担は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(平成10年公表、平成23年再改訂)が判断基準を示しています。通常の使用で発生する経年変化・通常損耗は賃貸人(貸主)の負担で、賃借人(借主)の使い方次第で発生する損耗は賃借人負担ですが、経過年数が長いほど負担割合は減少します。ただし、既に契約している場合は契約書の内容が原則で、ガイドラインはあくまで参考資料という位置づけです(当サイトの整理です)。

この記事の情報について

本文の引用は、国土交通省の公式サイトから直接取得したものです。当サイトは施工した立場ではなく、取材や実測に基づく記述は含んでいません。

確認していない範囲:経過年数に応じた負担割合の具体的な計算式・減価償却年数は、ガイドライン本体(PDF)の詳細な参照が必要で、今回は公式サイトの概要ページの記載にとどめています。敷金・原状回復トラブルの相談件数「3〜4万件」「3〜4割」の直近年度の正確な数値は、今回確認した概要ページには具体的な年度別数値の記載がなく、確認できていません。個別の契約における負担割合の判断は、契約書の内容と実際の損耗状況によって異なるため、必要に応じて住まいるダイヤル等の相談窓口にご確認ください。

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