外壁改修だけで戸あたり39万円〜90万円|アパート修繕の実例3件

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外壁改修だけで戸あたり39万円〜90万円|アパート修繕の実例3件

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「アパートの大規模修繕はいくらかかるか」という質問に、単一の「相場」で答える公的統計は見つかりませんでした。国土交通省が公開する資料は、区分所有マンション向けの数字と、賃貸アパート(一棟所有)向けの実例集とで分かれています。この記事ではその違いを踏まえた上で、公表されている実例の工事費を確認します。

マンションの「100万円〜250万円/戸」は、区分所有マンション向けの数字

大規模修繕工事の費用としてよく引用される数字に、国土交通省の実態調査に基づく次の目安があります。

国土交通省の調査(大規模修繕工事の実態調査)によれば、一戸あたり100万円〜250万円程度となっています。ただし、マンションの仕様や条件により工事費は異なりますので、参考値として取り扱ってください。

この数字の出典は「マンション管理・再生ポータルサイト」で、対象は分譲マンション(区分所有建物)です。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」自体も、対象を次のように限定しています。

このガイドラインは、主として区分所有者が自ら居住する住居専用の単棟型のマンションを対象としています。

賃貸アパート(オーナーが一棟を所有し、各戸を賃貸する形態)は、区分所有マンションとは所有形態が異なります。したがって、この「100万円〜250万円/戸」という数字を賃貸アパートにそのまま当てはめることは適切ではありません(当サイトの整理です)。

賃貸アパート向けには、別の国交省資料に実例集がある

国土交通省は、賃貸アパートなど民間賃貸住宅の管理業者向けに「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」を公開しています。この資料には、実際の大規模修繕工事の事例が具体的な工事費とともに掲載されています。

民間賃貸住宅の外壁大規模修繕の事例(国交省ガイドブック掲載)
物件 構造・戸数 延床面積 工事費(外壁全体改修)
物件A(築34年) RC造4階建・8戸 約335㎡ 約700万円
物件B(築41年) RC造5階建・20戸 約1,365㎡ 約1,800万円
物件C(築28年) 木造2階建・12戸 約266㎡ 約470万円

出典:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック(管理業者向け)」/確認日2026年8月14日

この3件はいずれも外壁の全体改修工事のみの費用で、屋根・共用設備・室内設備などを含む大規模修繕全体の費用ではありません。戸数で単純に割ると、物件Aは1戸あたり約87.5万円、物件Bは約90万円、物件Cは約39万円になりますが、これは公表された3事例のみから当サイトが計算したものであり、賃貸アパート全体の相場を示すものではありません(当サイトの計算です)。

外壁改修の事例3件(工事費) 物件A RC造8戸 約700万円 物件B RC造20戸 約1,800万円 物件C 木造12戸 約470万円 いずれも外壁全体改修のみの費用。大規模修繕全体の費用ではない

計画修繕を実施しているオーナーは約4割にとどまる

国土交通省が令和4年度に実施した調査によると、民間賃貸住宅のオーナーのうち計画的に修繕を実施しているのは約4割にとどまり、約2割は計画修繕を実施していないと回答しています。同ガイドブックは、計画修繕を実施した場合としない場合の収益性の違いについても、シミュレーション調査の結果を示しています。

木造、鉄筋コンクリート造のいずれの構造も、計画修繕を実施した場合と実施しない場合を比較して、実施した場合の方が、利回りや収益率が高いという結果が出ています。

計画修繕の有無による実質利回りの比較(シミュレーション調査)
構造 計画修繕あり 計画修繕なし
木造(あり:経営期間30年、なし:22年) 2.78% 1.90%
RC造(あり:経営期間60年、なし:47年) 3.0% 2.13%

出典:「賃貸住宅の計画的な維持管理及び性能向上の推進について」(平成31年3月・国土交通省住宅局)ほか、国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック(管理業者向け)」掲載の資料/確認日2026年8月14日

このシミュレーションは、計画修繕ありの場合とすでに経営期間の前提が異なっており(木造で30年対22年、RC造で60年対47年)、単純に「修繕をすれば利回りが上がる」という比較ではなく、建替えまでの期間の違いを含めた試算である点に注意が必要です(当サイトの整理です)。

修繕資金の確保方法として国交省が示す3つの選択肢

同ガイドブックでは、修繕資金の確保方法として、家賃収入からの積立、賃貸住宅修繕共済(全国賃貸住宅修繕共済協同組合)の活用、金融機関のアパートリフォームローンの活用の3つを紹介しています。積立額の目安としては、長期修繕計画の期間全体の修繕費合計を計画期間の月数で割る方法が示されています。資金計画全般についてはリフォームローンと住宅ローンの違いの記事もあわせて確認できます。給湯器など個別設備の更新費用は賃貸集合給湯省エネ2026の記事で扱っている補助制度の対象になる場合があります。太陽光発電を賃貸物件の付加価値として検討する場合は、姉妹サイトのソーラー資料室の見積もりの記事が参考になります。

まとめ

「アパートの大規模修繕は100万円〜250万円/戸」という数字は、区分所有マンション向けの調査に基づくもので、賃貸アパート(一棟所有)向けの全数調査の統計は見つかりませんでした。国土交通省が公開する賃貸アパート向けの実例集では、外壁改修工事だけで1戸あたり約39万円〜90万円という事例がありますが、これは大規模修繕全体の費用ではなく、公表された3事例に限られます。計画修繕を実施しているオーナーは約4割にとどまり、実施の有無で経営期間全体の収益性に差が出るというシミュレーション結果も示されています(当サイトの整理です)。

この記事の情報について

本文の数字は、国土交通省が公表している資料から直接引用したものです。当サイトは施工した立場ではなく、取材や実測に基づく記述は含んでいません。

確認していない範囲:賃貸アパート(一棟所有)の大規模修繕費用について、戸あたり・㎡あたりの単価を示す全数調査の公的統計は見つかりませんでした。ガイドブック掲載の3事例は外壁改修のみの費用であり、屋根・設備を含む大規模修繕全体の費用ではありません。計画修繕あり・なしの利回り比較は経営期間の前提が異なるシミュレーションであり、実際の物件に直接あてはまるものではありません。実際の工事費は、複数の施工業者への見積もりで確認してください。

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