空家法と固定資産税|勧告を受けると住宅用地特例が外れる

空き家・相続
空家法と固定資産税|勧告で住宅用地特例が外れる

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空き家を放っておくと固定資産税が上がる、という話があります。根拠は空家法と住宅用地特例です。2023年の法改正で、倒壊のおそれがある「特定空家等」だけでなく、その手前の「管理不全空家等」も勧告の対象になりました。勧告を受けると住宅用地特例が解除されます。この記事では、その仕組みと課税標準がどう変わるのかを公的資料で確認します。

空家法は3つの段階を定めている

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)は、空き家を段階的に区分しています。

空家法における空き家の区分
区分 定義(条文)
空家等 建築物または附属工作物で、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(第2条第1項)
管理不全空家等 適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれがある空家等(第13条・2023年改正で追加)
特定空家等 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれ、著しく衛生上有害となるおそれ、著しく景観を損なっている状態などにある空家等(第2条第2項)

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法/確認日2026年8月14日

2023年の改正で追加されたのが管理不全空家等です。市町村長は、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家について、所有者等に指導・勧告ができるようになりました。つまり倒壊しそうになる前の段階で勧告できるようになった、ということです(当サイトの整理です)。

勧告を受けると住宅用地特例が外れる

国土交通省は2023年改正の概要で、管理不全空家等について指導・勧告を行い、勧告を受けた敷地は固定資産税の住宅用地特例を解除すると説明しています。

住宅用地特例は、住宅が建っている土地の固定資産税の課税標準を下げる仕組みです。

住宅用地特例と、解除された場合の課税標準
区分 特例あり 特例が解除されると
小規模住宅用地(200平方メートルまで) 価格の6分の1 課税標準だけで見ると最大6倍
一般住宅用地 価格の3分の1 課税標準だけで見ると最大3倍

出典:国土交通省 土地の保有に係る税制/確認日2026年8月14日

ここで注意したいのは、これが課税標準の話だという点です。実際の税額は負担調整措置などで変わるため、そのまま6倍になるとは限りません(当サイトの整理です)。当サイトでは公表されている仕組みの範囲で書いています。

措置は4段階で進む

特定空家等に対する措置は、空家法第22条が定めています。

  1. 助言・指導
  2. 勧告
  3. 命令
  4. 行政代執行

いきなり解体されるわけではなく、段階を踏みます。住宅用地特例が外れるのは勧告の段階です(当サイトの整理です)。

全国の空き家は約900万戸

令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月1日時点の全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%でした。

空き家の区分別戸数(2023年10月1日時点)
区分 戸数
賃貸用の空き家 約443.6万戸
その他の住宅 約385.6万戸
二次的住宅 約38.3万戸
売却用の空き家 約32.7万戸

出典:総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査/確認日2026年8月14日

空家法が主に問題にしているのは「その他の住宅」に分類される約385.6万戸です。賃貸用や売却用は市場に出ている物件で、管理する主体がいます(当サイトの整理です)。相続したまま使われていない家の多くは、この「その他の住宅」に入ります。

売るなら3,000万円の特別控除がある

相続した空き家を売る場合、譲渡所得の3,000万円特別控除が使える場合があります。根拠は租税特別措置法第35条第3項です。

適用の期限には2つあります。

  • 個別の期限:相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
  • 制度の期限:2027年(令和9年)12月31日まで

相続から3年という期限があるため、放置している間に使えなくなる可能性があります(当サイトの整理です)。要件は被相続人が居住していた家屋であることなど複数あり、この記事では扱いきれていません。適用の可否は税務署または税理士にご確認ください。

まとめ

空家法は空き家を「空家等」「管理不全空家等」「特定空家等」に区分しています。2023年の改正で管理不全空家等が追加され、倒壊のおそれが出る前の段階で市町村長が指導・勧告できるようになりました。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除され、課税標準だけで見れば小規模住宅用地は最大6倍になります(実際の税額は負担調整措置で変わります)。措置は助言・指導、勧告、命令、行政代執行の4段階です。全国の空き家は約900万戸・空き家率13.8%で、空家法が主に対象とする「その他の住宅」は約385.6万戸。売却する場合は譲渡所得の3,000万円特別控除がありますが、相続から3年という期限があります。

この記事の情報について

条文は空家等対策の推進に関する特別措置法と租税特別措置法、住宅用地特例の説明は国土交通省の資料、空き家数は総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査から取得しました。当サイトは施工した立場ではなく、取材や実測に基づく記述は含んでいません。「当サイトの整理です」と書いた箇所は当サイトの解釈であり、公的機関の見解ではありません。税額や特例の適用可否については、市区町村の税務担当または税理士にご確認ください。

確認していない範囲:住宅・土地統計調査は総務省の公表概要をもとにしており、表番号ごとの詳細確認は行っていません。固定資産税が実際に何倍になるかは、自治体の評価額・負担調整措置・都市計画税で変わるため、課税標準の特例解除として整理しています。空き家の譲渡所得特別控除の全要件(被相続人居住用家屋の耐震性、老人ホーム入居の扱い、共有の場合など)は整理しきれていません。

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