耐震改修ガイド|制度によって対象になる住宅の基準日が違う

47都道府県のリフォーム補助金を調べたとき、県が独自に持っている制度の多くは耐震改修でした。省エネ改修は国の住宅省エネ2026キャンペーンが担い、自治体は耐震に予算を置いている、という分担になっています。このカテゴリでは、耐震診断と耐震改修について、補助制度・税制・基準の3つを公的資料で整理しています。

調べていて分かった重要な点が3つあります。制度によって対象になる住宅の基準日が違うこと、耐震改修の減税には工事完了から3か月以内という短い期限があること、そして「旧耐震だけの話」ではなくなりつつあることです。

制度によって基準日が違う

耐震関係の制度は、対象になる住宅を建築時期で区切ります。ところがその日付が制度ごとに違います。

制度別の対象住宅の基準日(2026年8月14日時点)
制度 基準日
自治体の耐震診断・改修補助 昭和56年(1981年)5月31日以前に着工・建築確認
固定資産税の減額 昭和57年(1982年)1月1日以前から所在する住宅
神戸市の補助(2026年10月1日から) 平成12年(2000年)5月31日以前着工の一定の木造住宅も追加

出典:各自治体の公式サイト、国土交通省 リフォーム促進税制/確認日 2026年8月14日

補助金の対象になったから減税も使える、とは限りません。逆も同じです。詳細は補助制度の記事と減税の記事で扱っています。

申請するのは自治体、でも国のお金が入っている

耐震改修の補助は、国土交通省の「住宅・建築物耐震改修事業(住宅・建築物安全ストック形成事業)」を枠組みにしています。ただし住宅の所有者が国に直接申請する制度ではなく、自治体が窓口になって交付します。

この構造が、住宅省エネ2026キャンペーンとの併用を考えるときに効いてきます。自治体の補助であっても国費が含まれているため、同一の工事・同一の対象部分で国のお金が二重に入る形は避ける必要があります(当サイトの整理です)。国費が入っているかどうかが併用の分かれ目になる点は国と自治体の補助金は併用できるかの記事で扱っています。

診断は無料から、改修は100万円前後

2026年8月14日時点で確認できた自治体7例の金額です。

耐震診断・改修の補助額の例(2026年8月14日時点)
自治体 診断 改修
京都市 診断士派遣は無料 分譲マンションは上限4,800万円(診断200万円・計画作成300万円)
名古屋市 無料 判定値1.0以上にする工事が対象
横浜市 診断士派遣事業 一般世帯100万円、非課税世帯140万円
神戸市 — 木造戸建は対象費用の5分の4・上限115万円
福生市 3分の2以内・上限10万円 同ページで案内
富田林市 木造戸建は11分の10・上限5万円 改修・除却も別メニュー
札幌市 — 耐震設計・改修工事の費用を補助

出典:各自治体の公式サイト/確認日 2026年8月14日

戸建の改修は100万円前後が目安ですが、分譲マンションでは桁が変わります。多くの自治体が、まず診断を受けて上部構造評点1.0未満であることを改修補助の前提にしています。

評点1.0は「安全の保証」ではない

耐震診断の結果は上部構造評点で示されます。補助制度の多くが「1.0未満を1.0以上にする工事」を対象にしていますが、1.0は区分の境目であって安全の保証ではありません。

上部構造評点の判定
評点 判定
1.5以上 倒壊しない
1.0以上1.5未満 一応倒壊しない
0.7以上1.0未満 倒壊する可能性がある
0.7未満 倒壊する可能性が高い

出典:東京都耐震ポータルほか/確認日 2026年8月14日

1.0で到達するのは「一応倒壊しない」です。基準と診断の詳細は耐震基準と診断の見方の記事にまとめています。

「旧耐震だけの話」ではなくなりつつある

木造住宅には、1981年の新耐震基準のあとに、2000年の接合部等の規定の明確化というもうひとつの区切りがあります。国土交通省は熊本地震(2016年)について、新耐震基準の在来軸組構法木造住宅のうち平成12年以前に建築されたものにも倒壊等の被害が見られたと説明し、「新耐震木造住宅検証法」を公表しました。

神戸市が2026年10月1日から平成12年5月31日以前着工の木造住宅も補助対象に加えるのは、この流れに沿った動きと読めます(当サイトの整理です)。他の自治体が追随するかどうかは確認していません。

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この記事の情報について

国の枠組みは国土交通省の資料と長期優良住宅化リフォーム推進事業のQ&A、自治体の金額は各自治体の公式ページ、評点の区分は東京都耐震ポータルほかから取得しました。当サイトは施工した立場ではなく、取材や実測に基づく記述は含んでいません。「当サイトの整理です」と書いた箇所は当サイトの解釈であり、公的機関の見解ではありません。

確認していない範囲:自治体の制度は公式ページで確認できた7例であり、全国を網羅したものではありません。各自治体の要綱PDF全文、予算残額、受付終了の状況は確認していません。熊本地震の建築時期別の被害率は、国土交通省の報道発表が委員会報告書を参照先として示していることまでの確認にとどめています。制度は年度で変わるため、申請前に必ず自治体の窓口でご確認ください。