外構・エクステリアガイド|同じ塀の撤去に2つの制度がある

外構工事に補助金は使えるのか。答えは制度によって変わります。国の住宅省エネ2026キャンペーンは、3事業の対象工事一覧に門扉・フェンス・塀・駐車スペースを載せていません。ところが介護保険の住宅改修は「玄関から道路までの通路」を明示的に対象に含めています。屋外の工事が公的制度上のリフォームとして扱われる場合と、扱われない場合があるということです。

このカテゴリでは、外構の工事を「どんな工事か」ではなく「どの目的の制度に当てはまるか」から整理しています。同じブロック塀の撤去でも、地震対策として申請するのか、緑を増やす工事として申請するのかで、根拠となる制度も窓口も助成額も変わります。

制度は4つの入口に分かれている

2026年8月14日時点で確認できた、外構に関係する制度の全体像です。

外構工事と補助制度の関係(2026年8月14日時点・当サイトの整理です)
制度 外構の扱い 窓口
住宅省エネ2026キャンペーン 対象工事の一覧に記載なし 各事業の事務局
介護保険の住宅改修 玄関から道路までの通路の手すり・段差解消・舗装材変更は対象 市区町村の介護保険担当
ブロック塀等の安全対策 撤去・改善が対象。国は住宅・建築物安全ストック形成事業で支援 市区町村の建築・防災担当
自治体の緑化助成 生垣造成、フェンス緑化、塀の撤去が対象 市区町村のみどり・環境担当

出典:各制度の公式サイト/確認日 2026年8月14日

制度ごとの根拠と確認方法は外構工事はリフォーム補助金の対象になるかの記事で扱っています。

同じ塀の撤去に、2つの制度が用意されている

このカテゴリを調べていて最も分かりにくかったのが、ブロック塀の扱いです。撤去には少なくとも2つの入口があります。

ブロック塀の撤去に使える制度の違い(2026年8月14日時点)
— ブロック塀等撤去助成 緑化助成
制度の目的 地震時の安全確保 道路から見える緑を増やす
担当 建築・防災担当 みどり・環境担当
撤去の助成額の例 杉並区28,000円/m、横浜市13,000円/m、大阪市24,900円/m(基礎あり) 文京区15,000円/m、練馬区11,000円/m、目黒区9,000円/m
条件 道路に面し、高さ80cm以上など 生垣の造成などとセットであること

出典:各自治体の公式サイト/確認日 2026年8月14日

練馬区は、緑化に伴う塀の撤去は緑化助成で扱い、撤去のみの場合は別の撤去費用助成を案内しています。杉並区は同一の工事について他の制度の助成を受ける場合は対象外となる趣旨を示しています。同じ工事に2つの制度を重ねて使えるとは限らないため、どちらで申請するかを先に決める必要があります(当サイトの整理です)。

撤去助成の金額と条件はブロック塀の撤去に補助金が出る自治体の記事、緑化助成は生垣・緑化への助成金の記事にまとめています。

助成額は自治体で数倍違う

ブロック塀の撤去助成について、確認した6自治体の通常の上限額は次のとおりでした。

  • 世田谷区 20万円
  • 大阪市 撤去15万円・新設25万円
  • 八王子市 30万円
  • 横浜市 長さに応じて30万・40万・50万円
  • 杉並区 50万円(通学路・避難路沿道は100万円)

同じ工事でも住んでいる自治体で5倍違う可能性があります。金額を左右する条件として共通していたのは、道路に面しているか、高さ80cmを超えるか、通学路・避難路・緊急輸送道路に面しているかの3点でした。

公的な費用相場は存在しない

外構工事の費用について、公的な相場を示す統計は確認した範囲では見つかりませんでした。建設工事施工統計調査には「造園工事業」などの業種別完成工事高がありますが、これは許可業者の受注総額であって、住宅1軒あたりの相場ではありません。

理由の一つは、外構工事が建設業許可の29業種のうち1つに収まらないことだと考えられます。造園・植栽は造園工事業、塀の基礎はとび・土工・コンクリート工事業、門扉やフェンスは建具工事業と、工事の内容ごとに業種が分かれます(当サイトの整理です)。

確認した統計と、そこに何が無かったかは外構工事の相場を示す公的統計はあるかの記事に整理しています。

カーポートは建築確認申請の話になる

外構の中でカーポートだけは、補助金より先に建築基準法の確認が必要です。既存の住宅がある敷地では増築として扱われ、都市計画区域内で10平方メートルを超えると建築確認申請が必要になります。よく言われる「10平方メートル以下なら不要」には条件があり、防火地域・準防火地域では10平方メートル以内でも必要です。更地への設置は新築扱いで、面積にかかわらず原則必要になります。

建ぺい率の計算では、外壁のない部分が連続4メートル以上などの条件を満たす「高い開放性を有する構造」であれば、端から1メートルを建築面積に算入しない緩和があります。詳細はカーポートに建築確認申請は必要かの記事で扱っています。

介護保険で対象になるのは6種類のうち3つ

屋外の工事が国の制度で対象になる唯一の例が介護保険の住宅改修です。厚生労働省の老企第34号は、手すりの取付け・段差の解消・床又は通路面の材料の変更の3区分について、玄関から道路までの通路を対象として示しています。

一方で、門扉の新設や駐車スペースの整備そのものを対象とする公式記述は確認できませんでした。支給限度基準額20万円の枠は屋内と屋外で共通です。区分ごとの対応は屋外のスロープと手すりは介護保険で使えるかの記事にまとめています。

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この記事の情報について

対象工事の範囲は住宅省エネ2026キャンペーン各事業の公式サイト、介護保険の記述は厚生労働省の告示と通知、ブロック塀の枠組みは国土交通省の資料から取得しました。自治体の助成額は各区市の公式ページで確認したものです。当サイトは施工した立場ではなく、取材や実測に基づく記述は含んでいません。「当サイトの整理です」と書いた箇所は当サイトの解釈であり、公的機関の見解ではありません。

確認していない範囲:自治体の制度は公式ページで確認できた代表例であり、全国を網羅したものではありません。各自治体の予算残額と受付終了の状況、個別の敷地が対象道路に面しているかは確認していません。都市再生や地域交付金の枠組みまでは調べていないため、国の制度に外構を対象とするものが一切ないと断定はできません。制度は年度で変わるため、申請前に各窓口でご確認ください。